奈半利町、田野町を通過し、安田川を超えると札所の中でも、屈指の難所として知られる神峯寺です。海辺から山上まで、「真っ縦」と呼ばれるほどの急な坂道を上らなければなりません。しかし、石段の両脇に見える庭園は樹木や花々が美しく整備され、振り返れば一面の大海原が見渡せます。難所であると同時に、優れた景観美を持つ札所でもあります。
境内には、“神峯の水”と呼ばれる石清水が湧き出ており、急坂で疲れた遍路の喉を潤してくれることでしょう。本尊は行基作と伝えられる「十一面観音」。一年中、たくさんの参拝客でにぎわいます。岩崎弥太郎(安芸市出身 三菱財閥創業者)の母親が、息子の開運を願い熱心に参詣したという話も残っています。