|
酒国土佐に育まれてきたのは、お酒にまつわる楽しい宴席文化。しかも、芸妓さんとお客さんが一緒になって遊べる、ユーモアたっぷりのお座敷遊びです。遊び上手の先輩に習うもよし、料亭でお姉さんに手ほどきしてもらうもよし。はし拳をはじめとする数々の勝負系、団体でにぎやかに遊べる可杯(べくはい)など、底抜けの楽しさが弾けます。初めての人どうしでも一気に親しくなれるお付きあいの知恵、それが土佐のお座敷遊び。いざ、実践! |

県外から来た人を驚かせるのが、土佐の献杯。敬意を表すため、目下の者から目上へ(あくまで基本)自分の杯を差し出してお酒を注ぎます。注がれたほうは、干した杯を下へ置かず、その杯でお返しに注ぎます。これが「返杯」。そのため各自が目当ての人の席へ移動し、にぎやかに座が乱れる光景が繰り広げられます。 |
 |
お面の形をした三つの杯。「可」は漢文で他の字の下につかないことに由来し、いずれもお酒を注ぐと、呑み干すまで置けない仕掛けが。赤の「てんぐ」が最も大きく、鼻が高いので安定しません。次が口の部分に穴があいた「ひょっとこ」、小さいのが「おかめ」。「べろべろの神様はぁ〜」と歌いながら独楽(こま)を回し、先端の方向にいた人が、出た絵の杯で呑み干さねばなりません。お酒に弱い人が当たったら、すかさず誰かが助けてあげるのもまた一興。 |
 |
人数が多い宴会で盛り上がる遊び。人数分の杯をお盆に伏せて、「親」になった人が、小菊の花を1個だけ、杯へ隠しておきます。全員で「菊の花〜菊の花〜、あけてうれしい菊の花〜」と歌い、親の隣から順に、一人ずつ杯をあけてお盆を回します。「当たった!」となったら、すでにあいている杯の数だけお酒を注いで呑まねばなりません。負けた(呑めるという意味では勝ち?)人が、次の親になって菊を隠します。 |
 |
相撲を取るのが大好きな、カッパに似た男の子の妖怪が土佐にいたそうです。それが「しばてん」。ラジオ高知(RKC)のかつての人気番組で、「しばてん音頭」を作ろうという話題から生まれた新しい民謡です。ユーモラスなほろ酔い顔を染めた「しばてん手ぬぐい」を頭からかぶり、輪になって踊れば、お座敷は最高潮に。 |
 |
二人ずつ勝負する、威勢の良い遊び。向きあって3本ずつ箸を持ち、その何本かを片方の腕の下へ隠してじゃんけんのように突き出し、数の合計を当てあいます。負ければうれしや、杯を一気呑みです。丁々発止の掛け声も勇ましく、なかには見とれるほどの名人芸も。毎年10月1日の「日本酒の日」に、高知市では「土佐はし拳全日本選手権大会」が開催されています。 |
 |
衝立になる物を用意し、2人の対戦者が相手に見えないように立ちます。「トラ、トーラ、トラ、トーラ」の歌にあわせて、3つのポーズで、じゃんけん!トラは四つんばい、加藤清正は槍を構え、母親は杖をつきます。トラが母に勝ち、母は清正に勝ち、清正はトラに勝つという三すくみのルールで、負ければもちろんお酒が呑めます。 |
 |
2人で対戦し、じゃんけんで親を決めます。親が、京都・大阪・東京(江戸)の三府いずれかの地名を発すると、相手は即座に職業を答え、ポーズも添えねばなりません。京都は「公家(くげ)でござる」と錫(しゃく)を持ち、大阪なら「商人(あきんど)でござる」とお辞儀をし、江戸は侍(さむらい)で、腰の刀を押さえます。少しでも間違えればお酒が呑めます。 |
 |
数十人の規模なら盛り上がること請け合い。親から順に進行方向へ1から30まで数えてゆき、一人が一度に3つまで進めても良いのがミソ。ただし、30を数えた人は負けて呑むことに。どうすれば自分が30にならないか、憎たらしい人が30で負けるか、お気に入りの人を守れるか、スリルが味わえます。だから別名、迷惑拳。 |
 |
じゃんけんと同じく「グー、チョキ、パー」を二人で出すのですが、勝ち負けのルールは違います。先攻が「パーはどうじゃ!」とパーを出せば、後攻も拳を出します。手が一致すればつづけ、違っていれば攻守交替に。3回つづけて同じなら、後攻めの負け。いい間違えや交替の間違いも立派な負けになり、お酒が呑めます。 |
 |
偶数で2手に分かれ、いっせいにじゃんけんをして、負けたらチーム全員が呑まねばなりません。中国の諸葛孔明にちなみ、勝負の前には各チームの「軍師役」が出す拳を決め、まず、後ろ手で隣の人の背中に拳を出して伝言ゲームをします。一人でも間違ったら、じゃんけんで勝っても負け。堂々と隣の人の手に触れるので、座る位置にご注意。 |
 |
大勢で遊べるじゃんけん競技。親を決め、「全員グーをもって集まれ!」の掛け声でスタート。親のいうとおりに「グー、チョキ、パー」を出せれば勝ち抜け。2〜3人に減ったら親は「グー呑み!」「負け呑み!」などと掛け声を変えて、最後に残った人も負けですが、掛け声の対象者がいなかったりアイコになれば親の負けです。 |
 |
2人で対戦します。両手の指で「0,5,10」のいずれかを同時に出し、合計数を当てあう遊び。先攻のいった数とはずれたら攻守交替。そして先攻の数と当たっていれば再び交替できます。2回つづけて当てれば勝ちで、お酒が呑めません。たとえば「10(とお)や〜」などといって5を出し、相手も5を出していれば言い当てて勝ち。 |
 |
2人で向きあい、香川の民謡「金比羅船々」を歌いながら、リズムに乗せてテーブル上のお椀のフタを交互に手のひらで打ちます。このとき、フタを自分のほうへ取ってもかまいません。そうなると、相手はゲンコツで元の場所を打ちます。歌をつづけながらフタを取ったり戻したり、リズムをはずしたら負け。だんだん早くすると楽しさが増します。 |
 |
|