農家民宿 浅春/里山の休日。伊尾木川の上流に気持ちいい風が吹いていた。

浅春のおばあちゃんとお母さん

90 歳を過ぎても元気一杯の浅春のおばあちゃん。鍬を持って畑に入ると急に背筋が伸びる。つい 2 年ほど前までは、バイクで村を駆け巡っていたという。

「よう、こんなところに来てくださって…」90 歳を過ぎたおばあちゃんに迎えられ、ただ、それだけで心が融けていくような気がした。農家民宿浅春は、安芸市市街から車で 30 分足らず。しかし、川に沿って進む道は山の中に吸い込まれていくようで、見慣れない道は、さらに遠く感じられる。しかし、その緊張も、おばあちゃんの一声で一瞬にして霧散する。
浅春がある入河内(にゅうがうち)という地域は、旨い入河内米の産地として知られている。市街から、わずか 30 分という距離だが、里山の季節はゆっくりと流れていて、そのゆったりとした空気が、ゆっくり旨い米を育てているように感じた。部屋へと案内されると、川風が風鈴を鳴らして出迎えてくれた。「うるさいでしょう」と浅春のお母さんに言われたが、むしろ、気持ちいい風にふわふわした眠気さえ覚える。   自然豊かな入河内の風景
神社の草むしりをする近所の人々   入河内は、小さな集落で露地には人の気配より野鳥の気配。そんな集落に、早朝から人のざわめきがあった。声を頼りに神社の方へ小さな坂を下ると、皆揃って、神社の石段の草むしりをしている。聞くと、今度の日曜日に祭りがあるのだと言う。そこに浅春のおばあちゃんの姿もあった。
お母さんの作ってくれたおいしいご飯

お母さんが、おいしいご飯を作ってくれた。
浅春は、おばあちゃんの家。部屋は二部屋。ほとんど手を入れていないと言う。
窓から望むお庭では、 お母さんが育てるたくさんの花を楽しむことができる。

部屋に戻って、朝ご飯を頂いていると、掃除を終えたおばあちゃんがひょいと顔を出し、「ほんとに、こんな田舎で何にもありませんが、ご飯だけはたくさんありますから、おかわりしてください」と言う。そして、お母さんにもおかわりを促す。お母さんは、笑いながら、遠路の来客にご飯を勧めるのは、おばあちゃんのお母さんの時代からの家風なのだと説明する。そんな話を聞いて、井伏鱒二の「へんろう宿」が浮かんだ。
四国霊場を巡る遍路に一夜の宿を提供する家。かつては、遍路道沿いに数多くあったらしい。お遍路さんとは一夜限りの出会い。そこにある一期一会の温かさ。そんな温かさが浅春にもある。
 おばあちゃんの一人語りは、食事の間、途切れることなく続く。開け放たれた窓からは気持ちのいい風が部屋の中を通り過ぎて行く。
  入河内の人々

船岡神社の草むしりをしていた入河内の皆さん。いい笑顔につられて、こちらまで笑顔になってしまう。

おすすめスポット
野良時計   安芸駅ぢばさん市場   廊中ふるさと館
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明治20年頃から120年にわたって時を刻み続けていたが、平成16年からは動いていない。内部は非公開。 周辺の趣のある町並みもおすすめ。
東側に駐車場(無料)有り
  地元の取れたて野菜や海産物、お土産物、市場内で焼いているパン、地元のお弁当、田舎寿司など。
住所:安芸市矢ノ丸4-2-30
電話:0887-35-7500)
営業時間:7:00〜19:30
定休日:なし
  地元のお母さんたちが作るおいしいごはん。日替わりのお弁当をはじめ、なすカレー、かき揚げちりめん丼が人気。
住所:安芸市土居1017-1
電話:0887-34-0701
営業時間:9:00〜17:00
定休日:月曜(祝日の場合営業)
DATA
Vol.006
農家民宿 浅春
住所 安芸市入河内737
安芸市役所から県道入河内土居線を東川、
別役方面に車で約40分。
 
問合 0887-36-2107(TEL・FAX)
senshun@snow.ocn.ne.jp
HP higashigawa.jpn.org/senshun/index.html
料金 一泊二食付き 6.500円
※一日一組のみ
 
市町村データ
安芸市(あきし):海・山・川に囲まれた県東部の拠点都市
安芸市 野良時計  
www.city.aki.kochi.jp/main/
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