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三天狗の森の西は、カルスト高原。ここも、風景を眺めるだけではなく、散策がおすすめ。

県境に建つ天狗荘。セラピーロードの管理も
行っている。申し込めばセラピー弁当
(1,050円・前日までに予約)を作ってくれる。
まず、最初にお断りしておきます。ここは、天狗高原と呼ばれていますが、一般的にイメージされるような、緩やかな起伏の広大な平原がどこまでも続くという高原ではありません。正確にいえば四国山地の尾根の平原です。しかし、その尾根の平原は、不思議な魅力に溢れています。
林道に入ると間もなく、目の前に壁のように聳える山並みが見えてきます。
その頂点が標高1485mの天狗の森。天狗の森の東には尾根沿いに豊かな森林が続き、天狗の森の西には樹木が見えず白い岩に覆われた稜線が続いています。
その白い巨岩がごろごろと降ってくるのではないかと、山の空模様を眺めながら車を走らせると、間もなく天狗荘の広い駐車場に到着します。
天狗荘という名前だけ耳にすると山小屋のようですが、訪れてみるとペンションという風情。車を降りると、高原の風が吹いています。
セラピーロードではイチリンソウ、ヒトリシズカ、タチツボスミレ、ヤマアジサイなどの花の他
紅葉も楽しめる。

足下がふわふわとしてるのは木のチップの仕業。
下から仰ぎみた天狗の森が天狗荘の庭の築山に見えるほど雄大な風景を目にして初めて、ここが四国山地の尾根なのだと実感します。ここまで越えてきた山々が眼下に広がる風景は圧巻です。登山を経験したことがない人も、人がなぜ山に登るのかという理由を少しだけ体感するはずです。かつて、多くの修験者が山奥の深い森の中で修行する姿を思い浮かべる人もいます。しかし、残念ながら、この天狗高原を訪れる人の多くは、車を走らせ、車窓の風景に感嘆の声をあげて通り過ぎていきます。せっかくですから少し歩いてみましょう。
天狗の森のセラピーロードは、2007年3月に
「森林セラピー基地」に認定されている。
天狗荘の東は、広葉樹の美しい森で、セラピーロードと呼ばれる快適な遊歩道が整備されています。おそらく、ほとんどの人が、一歩ここに足を踏み入れた瞬間、風景が一変することに驚くはずです。一瞬で周囲の全てが変化するという体験は、言葉にならないほど刺激的です。自然に足が前に出ます。足下がふわふわと気持ちいいのは木のチップが敷き詰められているからです。とても贅沢な遊歩道です。道には、緩やかな起伏がありますが、気持ち良く歩くことができます。初心者であれば10分ほどで少し汗が出るかもしれません。もちろん、気持ちのいい汗です。そして、気分はもう、一人前のトレッカーになっているかもしれません。
森の中は静寂の世界…というのは、真っ赤な嘘です。冬の僅かな時間を除けば、森の中は鳥たちのおしゃべりでとても賑やかです。そして、華やかです。山を歩く人にしても、修験者にしても苦しさを超越してなどと言っているのは、 ポーズに過ぎません。ただし、山や森に元気を貰えるという話だけは、真実です。
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高知県高岡郡津野町 |
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