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三嶋神社にかかる神幸橋:梼原川に架かる橋も木造。特に三嶋神社に架かる屋根付きの橋は必見。

ゆすはら座:歴史ある芝居小屋も、
リニューアブル・デザインが施されている。
梼原町は、四国山地の中にあります。この梼原を拓いたのは、京から下った藤原経高(つねたか)。 藤原一門から妬まれ伊予に流された経高は、延喜13年(913年)伊予の豪族河野氏の庇護を得て梼原に入り、津野と氏を改めています。その後、次第に南下して今日の東津野、葉山(共に津野町)に進出。また、戦国時代には須崎、三原までを領地としていました。そして、その足跡を示すように、領地の随所に経高が勧請した三嶋神社を残しています。 今日も、梼原に至る道は、須崎から葉山、東津野、梼原と連なっています。また、この道は坂本龍馬が辿った脱藩の道でもあります。
このように梼原町を紹介すると、いかにも辺境の町という風景を想像されるかもしれません。確かに、山深く点在する集落や、急峻な山の道には往時を偲ばせる風景が見られますが、その中心地は、まるでエコデザインの雑誌の中に迷い込んだような錯覚さえする景観に溢れています。新しい建物のデザインは モダンであるにも関わらず違和感がなく、また、時代を経た建築物とも美しく調和しています。
近年整備された中心街のメインストリートは県境の町らしく宿場町を連想させる。
間もなく、道の駅も誕生する。

雲の上のホテル
エコデザインの建築、町並み自体は、今日それほど珍しいものではないかもしれません。むしろ、反対にエコではないものを探す方が困難かもしれません。しかし、梼原町ほど広域に展開されている事例は、数少ないでしょう。2000年10月、FSC(森林管理協議会)の認証を取得。2007年11月、坂本龍一氏のカーボンオフセット推進プロジェクトに参画、2009年1月、環境モデル都市指定など実績を列挙すれば、イメージが容易かもしれませんが、ここで紹介したいのは、エコがテーマではありません。人のエナジーです。
梼原町役場:東京ミッドタウンの「サントリー美術館」、
テレビコマーシャルに登場して話題となった
中国北京郊外の「竹屋」などで知られる
隈研吾(くまけんご)。「雲の上のホテル」と
「町役場」は彼の作品。
梼原の木がふんだんに使われている。
まず、藤原経高が引き寄せられ、坂本龍馬などの幕末の志士が集い、司馬遼太郎が感嘆し、志のある移住者が暮らし、世界的な建築家隅研吾を招き、坂本龍一を魅了した梼原町。四国山地の県境のパワースポット。自然の破壊は、人間の存在そのものが原因という説がありますが、梼原町は人間にも自然を豊かにできる力があることを実証しているように思えます。だから、その志のある人たちを魅了して止まないような気がします。そして、そうした人々の力を得て、さらに魅力を増幅させています。
雲の上の梼原 Kumo no Ue no Yusuhara |
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高知県高岡郡梼原町 |
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