農家民宿 レーベン/空に潜る日。標高1399メートル梶ヶ森の小さな隠れ家で遊ぶ

高速道路を大豊 IC で降りて、吉野川に沿って走り、豊永から山に入る。そして、梶ヶ森の山頂を目指す。いわゆる快適なスカイラインではない。集落を通り抜け、森に潜る。その道は、ただ、頂きに至るためだけの狭い道だ。しかし、だからこその高揚感がある。ゆっくり走るからこそ見える風景が目の前に展開される。
山頂まで 4km のサインが、農家民宿レーベンの目印。大きくカーブを切ると、 唐突にログハウスが姿を現す。周囲には何も無い。駐車場に車をすべり込ませると、ログハウスから出てきたお母さんが手を振って迎えてくれる。
レーベンという看板が出ているから、このログハウスが目的地には間違いないようだが、その雰囲気は、農家民宿にはほど遠く、山小屋風のカフェとしか見えない。ヨーロッパを旅していると、田舎町でレストランをメインとする小さな宿泊施設を見かけるが、そんな雰囲気だ。もちろん、外観に裏切られることはない。ここでは、コーヒーも飲める。日曜日を除くほぼ毎日、地元産の蕎麦粉で打った蕎麦を味わうこともできる。ただ、ここの経営者は、娘さんということで、その方が不在だったため、詳しい事情を聞くことができなかった。ただ、農家民宿らしくスタイルフリーなのだということで勝手に納得して、勝手に眺めのいいテラスで寛ぐ。
 

仲のいい、レーベンのお父さんとお母さん。
娘さんが不在だったのが残念。

お父さんとおじいちゃんは、レーベンのすぐ近くで牧場を経営している。お願いすれば、見学も牛の世話体験も出来る。

屋根裏の小部屋が寝室。だだし、この雰囲気に
ワクワクして、なかなか眠れそうもない。

  レーベンが建っている場所は、軽く標高 1000m を超えている。山の景色の醍醐味は刻々と変化する風景。海辺や平地では時間の経過に気付かないくらいゆっくりと変わる。しかし、山では、大袈裟ではなく一瞬目を離すと景色が変わる。雲の近さ、星の明るさに驚く。山に登ったのでは無く、雲海に飛び込み空に潜ったのではないかと錯覚する。
「できましたよ」お母さんの明るい声に誘われて、テーブルに着く。美味しいものは、ほとんど薫りで分かる。「温かいうちに食べてくださいね」テーブルにピザが並んだ。
ここで穫れた野菜のピザ、山で穫れたキノコのピザ。小麦は自家製。もうすぐチーズも自家製になる予定だと言う。本当は、お父さんの到着を待ちたかったのだが、もう我慢ができずに熱々の野菜ピザに手を伸ばす。虚を突かれる。頬張った瞬間、トッピングされた野菜に今朝の朝露の清々しさまで感じる。現実にはあり得ない。だが、それが現実とすれば、これと同じ味はもう二度と生まれ得ない。そう思うと、一片のピザが愛おしく思えてきたのだった。  

お母さんが、手作りの石釜で、手作りのピザを焼いてくれる。興味があれば、自分で焼いてみるのも面白い。

おすすめスポット
   
豊楽寺薬師堂   ゆとりすとパークおおとよ   旧立川番所書院
豊楽寺は、神亀元年(724)名僧行基により創建。薬師堂は、四国最古の建造物で、屋根の勾配はゆるやかで、軒先の反りは、美しく優雅である。
*国宝
  標高750mの高原にあるハーブ園。世界各国のバラエティーに富んだ花々が迎えてくれます。
■開園/10:00〜16:30■入園料/大人500円、中高生300円、小学生100円
  立川番所は、藩主参勤交代の本陣。現在の建物は、寛政年間(1789−1800)の建築。
*国・重要文化財
DATA
Vol.003
農家民宿 レーベン
住所 長岡郡大豊町佐賀山715
 
問合 090-1004-5611(午後3〜8時まで)
料金 一泊二食付き 6,500円
※一日一組のみ
 
市町村データ
大豊町(おおとよちょう):訪れる人も住む人も、みんな「ゆとりすと」
いの町マップ いの町  
http://www.town.otoyo.kochi.jp/
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