

高知に住んでみたい。だけど、山里で田舎暮らしがしたいというわけでもない。ならば、高知市に住むという選択はどうだろう。人口34万人の県都でもある。高知市自体の面積はかなり広大だが、街としての機能は南北3km、東西5kmほどの範囲に集中したコンパクトシティー。慣れれば、とても使い勝手がよくて暮らしやすい。

その高知市に暮らすなら、おもいっきり、街のど真ん中が面白い。高知城、日曜市、帯屋町、ひろめ市場、はりまや橋など、高知のにおいがぷんぷんするような場所だ。龍馬が生まれたまち、泳いだという鏡川、山内一豊が築いた高知城なども徒歩圏内。歴史と隣り合わせのような感じで、街の人たちの話を聞いていると、ふと、向こうから龍馬がひょっこり歩いて来そうな気がする。ヒューマンスケールの街は人と人とのコミュニケーションも健全で、明るい土佐人はことに人懐っこい。
そもそも、高知の街は山内公が築いた城下町のつくりが今もベースになっていて、あちらこちらにその名残りが息づいている。例えば、地元の人たちだけでなく、観光客にも人気の飲食横丁「ひろめ市場」。その名称の由来は、江戸時代、土佐藩の名家老であった深尾弘人蕃顕(ひろめしげあき)に由来する。
彼の屋敷がこの付近にあり、その屋敷が姿を消した維新後も、この一帯は市民から親しみを込めて「弘人(ひろめ)屋敷」と呼ばれてきたことから、その名をとり「ひろめ市場」と名づけられた。一歩足を踏み入れると、まさに高知らしさが凝縮されている。

土佐人の人情・人となりを感じ、程よく人と付き合える居心地のよさ。バラエティに富んだ屋台村のような造りなど、懐かしくて新しい高知を体感できる場所だ。また、高知城追手門へと続く追手筋では 江戸時代から300年以上続く「日曜市」が毎週開かれている。高知城のふもとには官庁街があり、そこからほど近い帯屋町は、大橋通、新京橋、はりまや橋といったアーケード街をつなぐ中心的な商店街。飲んでも、終電やタクシー代を気にせず、歩いて帰れるというのも嬉しい。都会と田舎の魅力を両方に持った高知市で暮らす。心にも贅沢な街暮らしのススメである。
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