「そうこうしていたら、採用になってしまって…」というが、2人は採用になってしまったからという理由で馬路村移住を決意したわけではない。田舎暮らしに憧れていたのでも、小さな村の小さなパン屋さんを目指したのでもなかった。馬路村の農協組合長と、じっくり話し合った結果だった。実は、馬路村のパン工房は、これまで2度経営者が変わっている。良い話だけではなく、厳しさも理解した上での決意だった。そして、夫婦には一つの夢があった。「最終的な決め手は、馬路村が有機栽培にこだわった村だということを聞いたからです」という。堅太さんも結衣さんも、長年パン作りにたずさわり、いつかは理想のパンを作りたいと考えていた。馬路村なら、できるかもしれない。夢は、一気に実現に向け動いたのだった。 |