Vol.9 ジャージー牛と暮す。この牛との出会いが全ての始まり

片倉 裕二さん Yuji Katakura
ジャージー牛と片倉さん
肩の力を抜く
「大学で畜産の勉強をして、12〜13 年ほど食品関係のサラリーマンをやっていました。 そのサラリーマン時代に食の問題について考えることがあって、脱サラ。そして、福井県に移住してジャージー牛に出会ったのです。それが、始まりです」片倉さんは、ゆっくり言葉を選びながら話す。
ジャージー牛の乳搾り「福井県で 7 年間過ごした後、1999 年の年末に牛を連れて高知県に移住しました。一番上の子供が、その時、中学 2 年でしたから、進学のことなどを考えるとギリギリのタイミングだったからです。よく、なぜ高知にと聞かれるのですが、牛を育てる場所を探していたら、たまたま高知に出会ったということです。敢えて言えば、高知は山地酪農の発祥の地です。候補地を選ぶ時に、 それが頭の片隅を過ったかもしれませんが…」と言って片倉さんは笑ったが、やはり本音は牛の都合。
「だけど、乳の量が少ないジャージー牛なんか、どうして選んだのかと言われます。これも、理由はたくさんあるのですが、一番は可愛いからですね」片倉さんは、丁寧に言葉探す。ジャージー牛の優秀さを語る言葉は限り無くあるにも関わらず、可愛いからと結ぶ。牛が可愛いというのは、間違いなく片倉さんの本音ではあるが、答えの全てではない。ただ、常に自分らしさを意識している片倉さんらしい言葉の選択だと感じた。
移住は生き方
ログハウスのソフトクリーム店「You Farm」
「牛は本当に可愛いですよ。もう少し、スキンシップの時間も増やしたいとは思っているんですが、いろいろ忙しくて…」と言いながら、四頭の牛を紹介してくれた。牛にも触らせてくれた。その感触は素晴らしいが、この牛から絞られる乳は、一日わずか 10リットル程度しかない。そこで、片倉さんは、一人でも多くの人に美味しいジャージー牛の乳を味わって欲しいと、ソフトクリームの店を始めた。店は、予算を押さえるためにログハウスのキットを購入して、自分で建てた。
「要するに、好きなら出来るということです。移住したい人にアドバイスといっても人それぞれですから難しいけど、やらないで悩むより、やってみるべきだと思います。ベストのタイミングというのもありません。思った時が行動のタイミングです」もちろん、片倉さんは脱サラ、移住をすすめているわけではない。
美味しいジャージー牛のミルクでつくられたソフトクリーム お客さんと片倉さん
自分が夢中になれるものがあれば、どんなことでも楽しくやれると言う。最近、2 軒目の店もスタートした。
もの静かで優しい表情の片倉さんだが、その話を伺っていると闘志の固まりのような人だと感じた。
DATA
1999年の年末に移住、高岡郡津野町で牧場とショップを経営
片倉 裕二さん Yuji Katakura
市町村データ
津野町(つのちょう):清流と風と歴史に会える町
津野町 津野町  
http://www.town.kochi-tsuno.lg.jp/
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