土佐のおやつ

今のように多様な食材が手に入らなかった時代、田舎のお母さんたちが手作りしていた、素朴なおやつの数々。お芋類や小豆、麦、きび、そばなどを使って、おいしい工夫をしています。地産地消の、健康的でほっとするおやつ。各地の土佐料理伝承人たちによって昔の味が身近になりました。



こんちん
刈り入れのすんだ田に植えた小麦の粉、炒めたごぼう、麻(お)の実を入れたお焼き。今では麻の代わりにえごまを使って、ふるさとの味が復活しました。(大豊町)
蒸しようかん
小豆あんと小麦粉を混ぜて、竹の皮に包んで蒸します。皿鉢にも入っていて、空豆や黒砂糖のおかげで真っ黒い姿だったそうです。(南国市・香美市土佐山田町)
甘赤飯
小豆にも餅米にも砂糖が入った独特の甘さ。でもデザートではなくて、お寿司などと並んで「お客」にも出されます。三原村から幡多地域に広まった味。(三原村ほか幡多地域)
里芋ようかん
皿鉢に入れるきんとん、県西部はさつま芋、東部は里芋を使います。さっぱりと上品で粘りのある里芋きんとんには、甘い金時豆がアクセントに。(安芸市・芸西村)
半夏だんご
7月の初旬、半夏生の日は農作業を休む楽しい日でした。小麦粉を練った皮にあんこをくるみ、ミョウガの葉っぱで包んだ、夏らしい蒸しだんごです。(大豊町) 
いりもち
芽を出したころのよもぎは、コクと香りがひときわ。小麦粉生地によもぎをたくさん仕込み、小豆あんを包んで鉄板で焼いた香ばしいお焼きです。(仁淀川町※旧仁淀村)
ぜんざい
紅白の白玉だんごが浮いたぜんざいは、「お客」の定番。地域によっては、ダシをとった鯛をドンと浮かべたり、たこやいかの細切りをゆでた魚ぜんざいも活躍しました。(県内全域)
きらずもち
おからの別名、「きらず」。正月に食べるお餅で、豆腐と一緒に作ります。おからに餅米と砂糖を入れて一気につきあげたものです。2〜3日はやわらかいまま。(佐川町)
けんかもち
さつま芋と里芋とが入っているから、「けんか」するという楽しい意味。八幡様の夏祭りにお供えしていただいたお餅です。火鉢で焼くと香ばしいおいしさ。(香美市物部町)
きっぱ(干し芋)の団子
いわゆる「ほしか」、干したさつま芋の粉を練って、あんこを入れて蒸します。小さく丸めて茹で、黒砂糖をかけるのもおいしい食べ方です。(安芸市)
あたらしや
春野では皿鉢の定番。米粉の皮を型で押し、独特の模様を浮き出させ、あんこをくるんだお餅。早く食べないと固くなってしまうので、新しや。(高知市春野町)
おぼろ
家庭の杯を型に使ったひとくちサイズ。粗挽きの餅米を使用し、あんこを包んで蒸した上から、ちょこっと紅をつけるのがアクセント。(南国市)
あこやもち
地域に伝わる端午の節句の祝い餅。鶴や亀、桃など、素焼きの型に詰めて抜き、色をつけます。子どもの成長を祝って配ったものです。(須崎市大谷)
柿餅
砂糖が貴重だったころ、干し柿の自然な甘味だけで作りました。柿の色がほんのりゆかしいお餅。よく干した柿を使うと、おいしくできます。(いの町)
しば餅
端午の節句のお餅、いわゆる柏餅。米粉を練り、あんこを入れてシバ(サルトリイバラ)の葉で包み、蒸します。高知では柏の葉は使わなかったのです。(県内全域)
山椒もち
餅米の玄米粉、黒砂糖と山椒の粉を蒸して搗いたお餅です。山椒がピリッと効いて、夏場も長持ち。佐川ではお盆の風物詩になっています。(佐川町)
みかんもち
温州みかんを餅米と一緒にまるごと蒸してから搗きこんだ、柑橘系のやさしい味。黒餅米を使い、白あん、うぐいすあん、小豆あんなどと合わせます。(宿毛市)
なべもち
お彼岸の中日にお供えするお餅。ふだんは食べない餅米を炊き、銀ぶろうという豆を混ぜて握ります。かつて、山の暮らしではお米がごちそうでした。(大豊町)
そばもち
うるち米とそば粉を半々で。熱湯で練って、あんこを中に入れて蒸します。そば粉の香りが引き立つお餅のできあがり。(県内全域)
芋ケンピ
もともと、堅干(けんぴ)とは小麦粉を焼いた細長いお菓子で、藩主に納められていたそうです。その後、さつま芋を細長く切って揚げ、砂糖をまぶしたお菓子が登場しました。(安芸市他)
かんべの煮いたが(煮たもの)
前の年に切って干してあったさつま芋のかんべを、夏に煮ます。塩味で小豆やささげを炊き合わせると、ごはん代わりになり、腹もちもよいのです。(安芸市)
かんばもち(干し芋の餅)
県西部では、このお餅に入れる芋は、ひがしやまという切って煮て干したものを使います。県東部では、かんばという、切って干したお芋を使います。(県東部)