ときわ
高知の日本料理の名店と言われた「わん家」などで修行を積んだというご主人
大橋通りから南へ天神商店街を歩くと、途中に西へ抜ける小路がある。いろんな人から「しょんべん横丁」と名を教えられているが、正式名称はわからない。この横丁も名店揃いで、魚の旨い店、大衆店が軒を連ねている。高知に住む限り、酒飲みには外せない通りなのだ。
その中でも今日は「ときわ」の暖簾をくぐる。昭和53年5月にこの地で店を構えて早30年がたつ。高知の日本料理の名店と言われた「わん家」などで修行を積んだというご主人の和田和男さんが腕をふるう。どうしてこの横丁に出店したのか尋ねると、「行き止まりではなく、通り抜けになっているところでしょうか」と答える。口数は少なく淡々と料理を作り、たまにビールを口に含みながら、手際よく動く。カウンターからその姿を見ると惚れ惚れとする。店内の音楽も小さく演歌が流れて、酒場の哀愁があった。
ときわは料理の味でも惚れ惚れする。冬の名物だと教えてもらった「くじらのすき焼き」を注文する。これはくじらの身も多いが、そのにんにく葉の量に驚くスタミナ満点料理だ。このくじら、野菜も自家製タレとよく合う。一人前だがカメラマン氏と一緒に食べても十分なボリュームだ。そして、うどんが締めに出てくる。3500円の価値は十分。ご主人が「お店で一番高い料理だ」と笑顔で言った。
料金は大衆でも、料理はまさに料亭の味
次に出てきた「カキレモン」は、プリプリとした須崎の地ガキにレモンを搾り、トマトの裏ごしを合わせたもの。カキの生さを押さえるトマトとの酸味の相性が良く、絶品の一品。その他、浜アザミの天ぷらやカブラ蒸しなど、料理はすべて手づくりで、毎日朝9時半から仕込みに入るという。ダシやタレの一つ一つにご主人の仕事振りが伝わる。料金は大衆でも、料理はまさに料亭の味だ。
「うちは一見さんがふらっと入ってくる店じゃないので、常連が多いです。知り合いが一度連れてきてくれると、いつの間にか常連になるんでしょうか。料理のこだわりは、お客さんに味を合わせることです。時代と共に味の好みが変わりますから、それに対応することですね」とさりげなくご主人は言った。
カウンターの中にある黒板にはぎっしりとメニューが書かれている。その品数も多く、独特のオリジナリティのある料理名もある。二階にも座敷はあるが、カウンターに座って「ときわ」時間を楽しんで欲しい。横丁の灯りが点き始める頃にどうぞ。
DATA
Vol.002
ときわ
場所 高知市本町3-4-18
 
 
距離 088-872-5421
店舗 17:00〜23:00
時間 日曜・祝日
開催 なし
メニュー くじらのすき焼き:3,500円
カキレモンなど多数
食べて飲んで一人5,000円(目安)円
市町村データ
高知市(高知市):人口30万人を有する高知県最大の都市
高知市 高知市  
http://www.city.kochi.kochi.jp/
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