「鰹のタタキもそうやけんど、鮎やサバの姿寿司を作る時も必ず柚子酢を使う。魚の生臭さを消すには他の酢ではいかん。けんど、とりだちの新しい酢は塩が馴染まん」。酢をかけて魚が白っぽくなることを「酢にかまれる」という。酢を搾った後の皮は醤油の実にきざみ込んだり、柚子味噌に入れる。タネは化粧水にする。柚子酢には塩を入れて保存するが、無塩の柚子酢は砂糖、はちみつなどを加えて濃縮ジュースにする。「古くなった柚子酢は外へ置いちょくと便利。茶の葉を揉んだり、草むしりをして手や指先が黒くなった時に柚子酢で洗うときれいに落ちる」のだそう。柚子の村に昔から伝わる柚子の知恵である。「今日は柚子酢のにおいがええきに、うまい寿司になったろう」と、お父さんが台所を覗きに来た。
| 郷土料理 :土佐の風土と土佐人気質に紡がれた伝統の味 |