土佐のまんまる【揚げたてのイモ天/高知のうまい飯】

 油の中から、今まさに揚がらんとするイモ天に思わず、「おばちゃん、それ、ちょうだい」。熱いを承知で、その場であちちっ、あちちっとかぶりつく。  揚げたての衣のかりっとしたうまさ。やや甘めの衣が高知の特徴だ。さつまいものほっくりとした甘み。なにより、この大きさがいい。

いも天は土佐人の大好物。商店街や街路市を歩いていると、「てんぷら屋」をよく見かけるが、ちょっと小腹が空いた時など「イモ天でも買うて来んかね」となり、いそいそと買いに走ったりする。スーパーマーケットの揚げ物売り場にも定番で並ぶ。戦前は油が貴重品で、ハレの日にしか食べられなかったそうだ。
店によって一口サイズのものもあれば、わらじのように大きいものもある。芋を斜めに切り、それを継ぎ足して大きく見せているのだとか。生芋から揚げないと、ほっくりおいしいイモ天にならない。  そのイモ天には、子どもの頃からのいろんな思い出もくっついていたりするから、土佐人にとって特別なのだ。


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